本を読んで今日を生き延びる

うつでぎりぎりの社会人が小説で現実を逃避しながら生き延びます

和菓子のアン / 坂木司

うつ病になるまで、
現実逃避で、働いてない時間のほとんどを
読書につかってたんだよね。

あれは精神衛生に良かったのかな。
わかんないな。

自分の物語から目をそらすために
がんばって架空の物語ばかり追って
どんどんどんどん本を買って、積んで、
読んで、読んで、読んで、
うつ病になってからは読めなくて、
治ってからも読めなくて、
いま、やっと、久しぶりに、本がたのしいよ。

今日は会社を休んで自殺方法をいっしょうけんめい検索してたけど、
読みかけの和菓子のアンを手に取った午後は、
自殺のこと忘れて時間を過ごせたよ。

人生が苦しいときは、
自分のこと考えなくてすむから
本がたのしいよ。
私はね。

人生が輝いてたときも本は楽しかったけど。もちろん。

和菓子のアンは、女の子の成長ストーリー。
お仕事本でもある。
デパ地下和菓子屋で働きはじめた太めのアンちゃんが、
個性的な人にかこまれて、
毎日たのしくすごしてる。
ちょっとした謎を(店長が)解いたりもある。
ちょっと傷付いたり、ちょっとしんみりしたりもある。

優しい視点で、おもしろおかしい語り口で、
気負わなく読めて、和菓子がおいしそう。

表紙のしゃしんのおまんじゅうもおいしそう。

明日会社に行けたら、上生菓子を買って帰ろう。
会社に行けたら自分になにをかったっていいよ。
会社に行けますように。
仕事を失いたくないよ。