本を読んで今日を生き延びる

うつでぎりぎりの社会人が小説で現実を逃避しながら生き延びます

この女 / 森絵都

じわじわ面白くなる。
ほぼ100%関西弁での会話が続くので、最初少し読みにくいなーと思ったものの、
慣れてくるとそのテンポがなんとなく心地よくなる。

1通の手紙から始まる、その手紙をきっと最後読み終わったあとに、読み返したくなるだろうなと思ったら、やはり案の定、最後読み返してグッときた。

手紙にあるとおり、この女、を描く男の物語。
曖昧で希望とも絶望ともとれるラストだけれど、
わたしには救いがあるように見えた。

釜ヶ崎、あいりん地区、という地名をはじめて知ったので、
読み終えたあとに検索して、複雑な気持ちになった。

生きることに貪欲であってもなくても、
そこに人が生きている限り、食べて寝て働いて、生活をしていく必要があって、
スタート地点で不利な人も、突然足をすくわれた人も、この物語のなかに出てきて、ただただ生きている。

個人的に、主人公に小説の仕事を持ってきた大輔という男が印象的だった。