本を読んで今日を生き延びる

うつでぎりぎりの社会人が小説で現実を逃避しながら生き延びます

パラドックス13 / 東野圭吾

パニックもの?

久々に長編読んだ。
面白くてハラハラするもんだから、
途中でやめられずに、数時間で一気読み。

十数人が出てくるわりに、
誰が誰だかわからなくなることはない。
上手。

でも、特に誰に感情移入するでも肩入れするでもなく、
人物描写はいまいち。
なんか魅力的じゃなかった。
残念。

東野作品らしく、読みやすくて、
続きが気になっちゃってやめられず、
臨場感あってドキドキハラハラ、
映像化にすごく向いてるとおもう!

ラストはちょっと呆気ないけど、
そこまでの経過が面白かったからまあいいかな。

群像劇だから、あのラストも、映像化なら
それなりにグッとくる感じになるのかも。
小説だとあっさりしすぎてて、ちょっと物足りないけど。

あとは、「アダムとイブ論」ね…。
みなさんの感想読んでいると(本の感想も読むの大好き!)
そこにかなり反発する文章を目にしました。
あれはねー、、やだよねー、、

なまじ正しいこと言ってきた主人公格が、
それを言っちゃうってのも、また。。
食い意地はったデブとか、元はみ出しものとかの台詞じゃなくて、
正論嫌ってほど主張してきたあんたが言うんかーい!って、
やはりわたしもそこでガクッとしました。

作者が、それを他のキャラじゃなく、正論言うキャラに言わせたことで、
作者自信の考え方が浮かんで見えるようで、
なんだか気持ちがわるくなっちゃうのかなあ。。

善と悪の概念自体、今とは変わってくるような世界で、
「人類を発展させる」考え方をひたむきに善としてること自体、
なんか都合いいよなーって思ってしまうし。

人類を存続させたい彼の、それはそれは個人的な欲望を、
一般的な善にすりかえて語っちゃってるから、
まわりは反発したり、
結果的に着いていかなくなるひとも、そりゃ出るよねー。

わたしがそんな極限状態にもし、いたら。
もちろん想像もつかないけれど。
でも、たぶん、人類の種としての存続と発展とかは、
それこそ優先順位最下位くらいの、かなりどうでもいい事項になるような…気がするよ…

かれは、個人的な欲で、生き甲斐を欲していて、
その生き甲斐に、みんなを巻き込んで、
そして、村というか、宗教のようなものを作りたかったのかなあ。

もうちょっと人物描写が丁寧で、
キャラに愛着もてるような感じなら、
もっと面白かったのに残念だなー!
でも、映像化するときに、人間が演じると、
そういうの後からついてくるから、
小説の時点ではいいのかな、いらないのかな。
どうも映像化前提作品だから、という目で、
こちらも見てしまうくせがついてしまった。
東野圭吾作品。

でもね、面白かったよ。
いろいろと文句をつけたあとで言うのもアレだけど。
夢中で一気に読んじゃうのって、やっぱり、面白いからだと思うよ。